かみ合わせ(咬合)

かみ合わせ(咬合)とは、上の歯と下の歯が接することをいいます。

上の歯は、頭蓋骨に直接くっついています。

一方、下の歯は下あごについていて、下あごは筋肉などを通して頭蓋骨とつながっています。

 

この筋肉の収縮によって下あごが動くことで、上の歯と下の歯がかみ合わせることができるのです。

このかみ合わせというのは、うまくいかなくなると、全身に悪影響を及ぼす要注意事項です。

かみ合わせが悪くなると、頭蓋骨に関わる筋肉が伸縮するバランスが崩れることになります。

筋肉のズレは全身の動きをつかさどる頸椎に伝わるので、まず肩こりや頭痛などとなって現れます。

 

やがて、腰など、全身のあちこちに影響が広がっていきます。

ものがうまく噛めなくなる「咀嚼障害」を起こすと、認知症の原因になることもあります。

 

決して「歯だけですむ病気」ではないのです。甘く見てはなりません。

かみ合わせの悪化はなぜ起こる?

かみ合わせの悪化は、歯がぐらついたり傾いたりすると、起こりやすくなります。

原因として多いのは、歯周病や虫歯、そのほか強い歯ぎしりや食いしばりといったクセなどです。

 

また、けがや抜歯で歯を失ったりしたときも、かみ合わせが悪くなる可能性があります。

歯が抜けた跡に左右の歯がせり出してきて、それで上下のバランスが崩れるからです。

 

かみ合わせの治療には、筋肉のズレや歯のぶつかり合いを防ぐための矯正器具が必要となります。

当院では、症状に応じて「マウスピース」「テンプレート」という二種類の器具を使い分けます。

 

いずれも即日治るものではなく、数週間から数か月程度かかります。

しかし放置すると全身に影響が及ぶので、忍耐強く治していく必要があります。

マウスピースとは?

マウスピースは、歯全体を覆うようにしてセットし、かみ合わせのストレスをやわらげる器具です。

やわらかい樹脂でできていて、歯ぎしりや食いしばりで生じる、歯の強いぶつかり合いを防ぎます。

 

マウスピースは、歯ぎしりや食いしばりそのものを治せるわけではありません。

 

歯と歯が強くぶつかり合っていると、歯が削れたり痛んだりする状態が続くことになります。

こうした強いぶつかり合いを防ぎ、削れや痛みを効果的に防ぐことができるのが、マウスピースです。

 

保険が適用されるので、患者さんは3000円程度(症例により異なります)の負担でできます。

 

こんな患者さんがおられました

60歳代女性。

「歯が痛い」と涙ながらに訴えてこられました。

それほど激しい痛みだったようです。

 

見ると重い虫歯があったので、やむを得ず抜髄(ばつずい=神経を取り除くこと)を行いました。

しかしそれでも「歯が浮くような痛み」が残るといい、食いしばりが原因ではないかと考えました。

そこでマウスピースを作り、装着していただいたところ、ようやく痛みが治まり一件落着しました。

 

テンプレート療法とは?

テンプレートは、両奥歯の部分にセットする器具です。

ほほの筋肉を適切な状態に伸ばし、筋肉の働きによってかみ合わせを改善することが目的です。

 

歯と歯の強いぶつかり合いを防ぐにとどまるマウスピースとは異なり、筋肉の働きを直接変えます。

あごの左側と右側でバランスが崩れている場合などの治療に最適です。

こんな患者さんがいらっしゃいました

70歳代男性。「肩がこる」「首が痛い」という訴えで来られました。

もともと左右の下奥歯に義歯が入っていて、その左右のバランスが悪かったようです。

テンプレートを作って約2か月装着していただき、左右の歯にかかる力が均等になるように改善。

そのうえで義歯を入れなおしたところ、肩こりや首の痛みがなくなりました。

 

また60歳代の女性は、上の前歯が下の前歯より前に出る、俗にいう「出っ歯」のような状態でした。

つまり上の前歯と下の前歯がすれ違うため、かみ合わせが深すぎたのです。

そこでテンプレートを装着し、全体のかみ合わせを高くすることで、バランスを改善しました。

<これを書いた人>

上田 昭彦(うえだ・あきひこ、Akihiko UEDA)

1955年12月佐賀県武雄市生まれ。いったん理工系の大学に入るも中退し、82年福岡歯科大卒、同時に歯科医師免許を取得。92年歯学博士号を取得(九州歯科大)。同県鹿島市や那覇市での勤務を経て、88年6月に鳥栖市に「うえだ歯科医院」を開き、現在に至る。