インプラント

失ってしまった歯の代わりに、人工歯根をあごの骨に埋め込む。

これがインプラント治療です。失う前と同じ形状の「歯」を取り戻すことができます。

インプラントで差し込む「歯」は、歯本体(セラミックなど)と、ボルト状になった人工歯根(チタンやチタン合金など)が一体化しています。

 

このボルト状の人工歯根を、歯肉と骨(歯槽骨=しそうこつ)に、ボルトのような金属で差し込んで固定します。手術時間は、30分から1時間程度です。

「骨に差し込む」というとギョッとするかもしれません。確かに歯肉にさすことにはなりますが、その下にある骨には神経は通っていないので、患者さんが想像されるほど大きな痛みはありません。

 

失っていた「歯」を取り戻すと見た目もよくなり、心置きなく笑顔を見せられます。そしてものを噛む力も、以前と同じように発揮できます。食べ物がおいしくなります。

 

そうやって、明るい生活を取り戻してください。

 

インプラントのデメリットは?

ここ数年、歯科医院にいらっしゃる患者さんのインプラントの需要が、特に高まっています。

しかしインプラントも決して万能ではなく、デメリットがあります。

患者さんには、それをよく理解していただきたいと思います。

①価格が高いこと

インプラントでは、歯1本で30~50万円程度の負担が必要です。しかも保険はききません。

(義歯だと、隣り合う複数の歯がワンセットとなって1万円前後で済むケースがあるほどです)

 

もちろん、インプラント治療を経て取り戻せる生活は、おカネには代えられないものです。

 

②骨が弱い方にはできないこと

繰り返しになりますが、インプラントは骨に金属を差し込むという方法を使っています。

ですから、例えばご高齢などの事情で、骨に一定の強さがない方には、そもそもできません。

誰にでも無条件にできる、という歯科治療ではないのです。

「その後」の油断は禁物

インプラントで新しい歯を手に入れると「もうこれで安心」と思ってしまう方は多いようです。

しかしインプラント治療をしても、歯肉は当然あるので、歯周病などのリスクはなくなりません。

 

むしろ安心してしまうと「インプラント性歯周病」のリスクを高めてしまいます。

決して安心せず、ふだんからの歯磨きの習慣を大事にしなくてはなりません。

そして歯科医院で、定期的なメンテナンスを受ける必要があります。

<これを書いた人>

上田 昭彦(うえだ・あきひこ、Akihiko UEDA)

1955年12月佐賀県武雄市生まれ。いったん理工系の大学に入るも中退し、82年福岡歯科大卒、同時に歯科医師免許を取得。92年歯学博士号を取得(九州歯科大)。同県鹿島市や那覇市での勤務を経て、88年6月に鳥栖市に「うえだ歯科医院」を開き、現在に至る。