虫歯治療

歯科医師が手掛ける治療で最も多いのは、何といっても虫歯です。
子どもも大人も、そしてお年寄りまで、虫歯をお持ちの患者さんは、全体の半分はゆうに超えます。

虫歯とは、虫歯菌(原因となる菌は数種類あり、ミュータンスレンサ球菌と総称。ミュータンス菌ともいいます)が作りだした酸によって、歯が溶かされることを言います。

虫歯菌は、口に入ってきた糖分を原料に歯垢(プラーク)を作り、そのなかで酸を作り出します。
これがたまっていくと、やがて歯は酸によって溶かされていくこととなります。

歯そのものが既に溶かされているのですから、元の通りに戻すことは不可能です。
それどころか、虫歯菌に侵された部分を早く削って、取り除かなければなりません。

キュイーンと耳をつんざく、あのイヤな音にトラウマになっている方もおられるかもしれません。
それは虫歯菌に侵された部分を機械で削る時の音であり、避けて通ることができない作業なのです。

この項では、歯科医師として、具体的にどんな作業をしているかをご説明します。
少しでも不安を解消するきっかけになればと思います。

 

削って樹脂をつめる

虫歯は、症状が軽い方から順に「C1」「C2」「C3」「C4」とレベル分けされています。

このうち、比較的症状が軽いC1とC2の場合、歯を削ったあとに樹脂を流し込んでいます。
歯を削り、樹脂をつめて終わりです。症状が軽ければ、その動作に尽きるのです。

<軽い虫歯の治療方法>(1回程度の通院で済みます)

①虫歯菌に感染している部分を削る

「タービン」や「エンジン」と呼ばれる器具で削ります。キュイーンという音はこの機械から出ます。
嫌な音ですが、削ることによって、歯に巣食っていた虫歯菌を根本から取り除くことができます。

②削った分だけの樹脂を流し込む

削った部分の代わりとなるものは、樹脂(レジン)です。 
ジェル状の樹脂を、流し込みます。

 

③流し込んだ樹脂を、光を当てて固める

流し込んだ樹脂は、そのままではジェル状のままになっていまします。
このため特殊な光を2~3秒間当てることで、樹脂を固めます。

重い場合は、抜髄か抜歯

ただし、C3以上の重い症状となると、こうはいきません。

歯科医師として非常に心苦しいのですが、抜髄や抜歯などの、重い決断をする必要が出てきます。

<重い虫歯の治療方法>(状況により7~8回程度の通院が必要です)

C3の場合は、神経組織を取り除く「抜髄」となります。
C4の場合は、歯そのものを抜き取る「抜歯」が必要です。

ただしC2かC3で迷う場合は、抜髄の決断をせずに、歯本体にセメントを注入する方法もあります。
これができれば、軟弱となった歯本体(内部にある象牙質)を再び形成しなおすことができます。

つまりC2かC3かが、虫歯治療の重大さを決める、一つの分かれ目と言ってもいいでしょう。

当院の虫歯治療の特徴

当院の虫歯治療の特徴

出来るだけ痛みの少ない治療を心がけています。
拡大鏡も活用し、精密な治療を実施しています。
歯を残す治療を優先し、「削らない、抜かない」方針を重視しています。
治療後の再発防止・予防管理までしっかりサポートします。

こんなお悩みありませんか?

  • 冷たいものや甘いものがしみる
  • 噛むと痛みがある
  • 黒ずみや穴が見える

これらは虫歯のサインです。
放置すると進行して治療も大掛かりになるため、早めの受診が大切です。

当院の痛みに配慮した治療

表面麻酔や細い針を使用し、麻酔注射の痛みを軽減します。
麻酔液をゆっくりとした一定速度で注入することで痛みを最小限にします。
治療中も患者さまの表情や反応を確認しながら、無理のないペースで進行します。

可能なかぎり
「歯を削らない・抜かない」
治療

う蝕検知液を使用し、削る範囲を最小限にします。
コンポジットレジン修復(白い樹脂)で最小限の削る量で治療します。
大きな虫歯でもできるだけ神経を残す治療(MTAセメントなど)を優先します。 
抜歯は最終手段とし、歯の保存を第一に考えるセラミックやゴールドを用いた治療やインプラントなど、できるだけ虫歯や歯周病になりにくい治療や歯を削ったり抜いたりしないで済む治療方法も用意しています。

虫歯の予防法について

虫歯の予防法について

  • 毎日の正しいブラッシング
    (歯ブラシ+フロス+歯間ブラシ)
  • 定期的な歯科検診・クリーニング
  • クリニックでのフッ化物塗布や自宅でのフッ化物活用で科学的に虫歯予防
  • 規則正しい食生活
    (虫歯になりにくい間食、糖分の摂り方にする)

虫歯の再発を防ぐために
行うこと

  • 治療後も定期的なメンテナンスを継続
  • 口腔衛生指導で適切なセルフケアを身につけてもらう
  • 小さな変化を早期発見し、最小限の被害にとどめる
  • 虫歯になりにくい治療法の選択

治療期間について

  • 軽度の虫歯
  • 1回の治療で終了することが多い

  • 中等度の虫歯
  • 2~3回の通院で完了
    (詰め物、被せものなど)

  • 重度の虫歯
    (神経治療が必要な場合)
  • 4~6回ほどかかることもある

※症状や治療法により異なります