何度にも及んだ通院を経て歯科治療を終えた患者の皆さん、本当にお疲れさまでした。
「もうこれで歯は安心だ」「もう何の心配もない」――そう思っていらっしゃいませんか?
インプラントやラミネートべニアなど、費用を多くかけた歯科治療ほど、そう思う患者さんは多いです。
そのような思いがあるなら、今すぐにここで捨ててください。
歯科治療はあくまで「治しただけ」であって、「再発のリスクをなくした」わけではないのです。
かけた時間や費用がいくら多くても、油断すると、虫歯や歯周病は容赦なく襲ってきます。
決して油断してはなりません。歯医医院では「治したあとも正念場」なのです。
では、その後に虫歯や歯周病にならないようにするためには、一体どうすればいいのでしょう。
「その後」も受けてほしい、PMTCと検診
もちろん、患者さん自身が毎日毎日、正しい歯磨きを実践していただくことは必要です。
関連記事:大人の正しい歯磨き
しかしそれだけでは安心できません。
その後も定期的に歯科医院に来ていただき、PMTCと歯科検診を受けることが効果的です。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Clinic)とは「専門的機械的歯面清掃」のことです。
歯科衛生士が、プロ仕様の機械を使って行う、レベルの高い歯磨きです。
まず歯の表面に重曹を吹き付け、こびりついた色素を落として歯を白くします。
そのうえで、超音波の器具を(場合により手動の器具も)使ってたまった歯垢を落とします。
ふだん皆さんは歯ブラシでしか歯磨きをなさらないでしょうから、この効果は抜群です。
歯にこびりついた色素を落としたいと願う患者さんへの、最初のステップとしても使う方法です。
関連記事:色素沈着対策
歯科治療が終わってから約2か月後と7か月後にこのPMTCを受けていただきたいのです。
さらに、約5か月後には歯科検診を受けられることをお勧めします。
歯科治療を終えた患者さんの理想的な流れ
■治療終了
↓
■約2か月後 PMTC
↓
■約5か月後 検診
↓
■約7か月後 再びPMTC
歯垢がたまる、それは髪の毛が伸びるのと同じ
歯医者に行くだけで気が重い、もううんざりだ――そう思う方は多くいらっしゃるでしょう。
せっかく歯科治療を終えたのに、どうしてまた定期的に歯医者に通わねばならないんだ、と思われるかもしれません。
しかし院長の私は、歯垢というのは、髪の毛と一緒だと思っています。
髪の毛が毎日毎日少しずつ伸びていくのと同じように、歯垢も毎日毎日少しずつたまっていきます。
でも髪の毛の場合、皆さんは定期的に理髪店に行って、カットをされるでしょう。
だったら歯垢の場合も、定期的に歯科医院に行って、取り除くということが必要だと思いませんか?
虫歯や歯周病というのは、歯石が「増えすぎる」ことが原因となって起こるものです。
(厳密にいうと、正しい歯磨きをしても歯石は少し残りますが、少しくらいなら問題はありません)
つまり歯石を「増やしすぎない」ことが、虫歯や歯周病対策として何よりも大事なのです。
それを最も的確にやる方法が、治療後も歯科医院に定期的に通っていただくことなのです。
せっかく受けた治療の成果を台無しにしないためにも、定期的に歯科医院へ通っていただけたらと思います。