大人向け~正しい歯磨きの方法

虫歯や歯周病を防ぐために、毎日毎日の歯磨きが欠かせないことは言うまでもありません。

しかし毎日歯磨きをしているにもかかわらず、虫歯や歯周病になってしまう患者さんもおられます。

 

ケース・バイ・ケースではありますが、歯磨きにも正しいやり方とそうでないやり方があるのです。

では、虫歯や歯周病を予防するには一体どのような歯磨きがいいのでしょう?

 

「ゴシゴシと力を込めて磨けばいい」「時間をかけて磨けばいい」

もしかしてそう思っておられませんか? そう思っておられたら、残念ながらそれは間違いです。

 

ゴシゴシとやりすぎたら、歯が削れたり、歯肉を傷つけたりしてしまいます。

はたまた時間ばかりかけてみても、磨き方がそのもの間違っていたら何の効果もありません。

 

子どもの頃は、親御さんと一緒に「親子歯磨き」を実践してほしいと思います。

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しかし思春期にもなれば一人前の大人。誰かに頼るわけにはいきません。

 

思春期になったら、ぜひ「正しい大人の歯磨き」を覚えてください。

もちろんこれは大人の方にも共通しますから、一生使っていく方法です。

 

そのコツは、次の3点に集約されます。

 

正しい大人の歯磨き

①歯ブラシを「鉛筆持ち」をすること

鉛筆を握るのと同じ握り方、親指と人差し指(および中指)ではさむように握るのが効果的です。

このほうが、歯ブラシに無駄な力が入らず、適度な力で、細かく動かすことができるのです。

歯磨きの時、歯ブラシの柄をわしづかみのようにして握る方が、実は多いのではないでしょうか。

しかしそれでは力が入りすぎて、ゴシゴシと強くやって歯を傷つける原因になってしまうのです。

②「歯と歯肉の境目に斜め45度」で当てること

歯周病を引き起こす歯垢は、歯と歯肉の境目に最もたまりやすいものです。

ここで落としそこねた歯垢は、歯周ポケットに入り込んでいき、やがて歯周病を引き起こすのです。

したがって、この境目たまる歯垢に毛先を当てることが、歯垢を落とすために何より大事です。

ただ歯に垂直の角度でブラシを当てても、歯垢を十分に落とせません。

歯垢を最も効果的に落とすのは、「歯に対して斜め45度」なのです。

これは歯の表側はもちろんですが、歯の裏側でも同じことです。

歯の表と裏、両面で「斜め45度」を実践してください。

③毛先を動かさずに柄を動かすこと

「歯と歯肉の境目に45度」で毛先を当てたら、その毛先の位置を動かさないこと。

毛先を動かさないまま、柄を前後に約20~30回程度動かしてください。

 

こうすることで、歯と歯肉の隙間に毛先が深く入り込み、汚れを効果的に落とせるのです。

なおかつ、歯肉を適度にマッサージする効果も得られます。

 

歯ブラシの毛先を当てると、一回あたり、だいたい歯2本分の範囲をカバーできると思います。

その動きを、全ての歯の表と裏でカバーしていただきたいのです。所要時間は合計3分程度です。

 

患者さんの中には、歯肉に毛先が触れるのを嫌がる方もおられますが、嫌がってはいけません。

歯の表面「だけ」にブラシを当ててみても、歯と歯肉の隙間にたまる歯垢は落とせないからです。

こんな患者さんがおられました

30歳代男性。「下の歯がぐらつく」と言って来院されました。

 

なんと子どもの頃から虫歯1本なく、このとき生まれて初めて歯医者に来られたそうです。

もう超がつくほどの「優等生」といってもいいほどの患者さんです。

 

ところが、お口を拝見すると歯石がびっしりついていて、もう末期の歯周病でした。

残念ながら、2本抜歯せざるを得ませんでした。

 

この方、毎日歯磨きはしておられたそうなのです。それなのに、末期の歯周病になってしまった。

もう少し早くから正しい歯磨きをしていただいていれば……。私自身も悔しい思いでした。

 

おわかりでしょうか。歯磨きというのは「ただしていればいい」わけではありません。

「ブラッシング」、そしてそれによる「歯石除去」が、予防のためには欠かせないのです。

<これを書いた人>

上田 昭彦(うえだ・あきひこ、Akihiko UEDA)

1955年12月佐賀県武雄市生まれ。いったん理工系の大学に入るも中退し、82年福岡歯科大卒、同時に歯科医師免許を取得。92年歯学博士号を取得(九州歯科大)。同県鹿島市や那覇市での勤務を経て、88年6月に鳥栖市に「うえだ歯科医院」を開き、現在に至る。

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