正しい歯ブラシの選び方

歯科医師としてどうしてもお伝えしたいこと。

虫歯や歯周病を予防するには、いうまでもなく、ふだんからの歯磨きが欠かせません。

そこで大事なのは「正しい歯磨きの方法」、そして「正しい歯ブラシ選び」です。

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いくら知識があっても、そのための道具が正しくそろっていなければ、効果は期待できません。
 

「歯ブラシなんて、どれ買っても同じでしょ」。

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし現実には、毛先の密度が濃いもの、粗いもの、固いもの、やわらかいもの――実に様々です。

当歯科医院では院長やスタッフが、業界で効果があるとされる歯ブラシなどの情報を常に仕入れています。

そして実際に日常生活で使ってみて、本当に効果があるかどうかを試しています。

当院にご相談いただき、正しい歯磨きの知識をつけ、きちんとした歯ブラシ選びをしましょう。

歯磨きには「ふつうの歯ブラシ」「歯間(しかん)ブラシ」「糸ようじ」の3点セットを使っていくことが効果的です。この3つについて歯科医師としてご説明します。

ふつうの歯ブラシ

ふつうの歯ブラシ選びで大事なのは、毛先が「しなやか」で「痛みが少ない」ことです。

言い換えると、「歯と歯肉の境目に、毛先がぴったりフィットするかどうか」ということです。

正しい歯磨きのコツは、歯と歯茎の境目に毛先をあてることです(→「大人の正しい歯磨き」)。

ここに毛先がぴったりとフィットして初めて、たまりつつある歯垢に触れることができるのです。

逆に、毛先がぴったりフィットしなければ、効果的に歯垢を落とせなくなってしまいます。

そのために毛先が「しなやか」で「痛みが少ない」ことが必要なのです。

例えば、スーパーマーケットなどで大量に販売されている歯ブラシがあります。

こうした安価な製品は、毛先が固かったり粗かったりで、なかなか「フィット」とはいきません。

また毛先が固い歯ブラシを使う場合、歯や歯茎に当てると「チクッ」と感じることがあります。

そうなると、無意識のうちに、毛先を歯や歯茎から遠ざけてしまうことになります。

あるいは痛みを避けようと、歯の表面ばかりを力を入れてゴシゴシと磨くことにもなります。

それでは、歯の表面を傷つけたり、歯が削れたりすることにもなり、好ましくありません。

当歯科医院では、毛の本数が通常より多い(約5600本。通常は500~1000本程度)ヨーロッパ製のもの(写真上)や、毛先が小さな束状になった「ワンタフト」(写真下)などの製品をおすすめしていて、有料でお譲りしています。

毛の本数が多いと、それだけ歯と歯茎の間にフィットしやすくなります。 

また毛先が束状になっていれば、歯茎に当てたときの痛みを少なくできます。

歯間ブラシ

「ふつうの歯ブラシで磨いて、まだ別の歯磨きがいるのか!」――そんな声が聞こえてきそうです。

しかし、ふつうの歯ブラシの場合は、毛先は、歯や歯肉の表面にしか届きません。

せいぜい歯と歯の隙間にはさまりつつある歯垢までしか対応できず、より深い部分は落とせません。

しかしそうした歯垢が落とせないと、歯周病菌が増殖して歯周病を引き起こす要因となります。

そうしたリスクを減らすのが、歯間ブラシによる歯磨きです。

歯間ブラシは、直径数ミリの円柱状に毛がびっしりと植え付けられた歯ブラシです。
 
歯と歯の間のわずかな隙間にブラシをはさみ込んで、手で回転させて使います。

そうやって隙間にはさまった食べカスや歯垢が取り除きさえすれば、歯間ブラシの役割は成功です。

糸ようじ

糸ようじも、歯と歯の間にはさまった食べ物のカスや歯垢を取り除く手段として有効です。

役割は歯間ブラシと似ています。

食事の直後、歯と歯の間に食べ物のカスがはさまることはよくあります。

そして常に、食事の直後にゆっくりと歯磨きができるわけでもないと思います。

しかしそのような時でも、糸ようじは、すぐにそのはさまったカスを取り除く手段として使えます。

時間がたてばたつほど虫歯菌や歯周病菌は増殖しますが、糸ようじでそのリスクを減らせるのです。